約束の時間に遅れてきたり、期日を守らなかったり・・・。
身近な人のルーズな振る舞いに、ついイライラしてしまうことってありませんか?
「どうして普通のことができないの?」と、人間関係に疲れが溜まっている方も多いと思います。
相手に悪気がないと分かっていても、自分ばかりが我慢しているように感じてしまい、心にどんどんストレスが溜まっていくのは本当につらいものです。
本書『医者が教える 感情的にならない気持ちの整理術』は、そんな対人関係の悩みを根本から解消してくれる珠玉の智恵が満載の一冊です。
単に「怒るのをやめましょう」という精神論ではなく、精神科医としての科学的な知見から、感情に振り回されない「気持ちの整理術」を教えてくれます。
あなたの心が今日からラクになれるショトカ(近道)を見つけましょう。
感情のコントロールの目的は「行動の自制」
人間である以上、心の中に不快な感情や不満が自然に湧き上がってくるのを完全にストップさせることなど不可能です。
重要なのは、湧き上がってきた感情を力ずくで消し去ることではなく、その感情に引きずられて「問題のある行動」を起こさないように自分をコントロールすることです。
怒りに任せて相手を激しく怒鳴り散らしたり、SNSに誹謗中傷を書き込んだりすることは、人間関係を破滅させる致命的な問題行動と言えます。
負の感情そのものは放置しておけば時間の経過とともに自然と穏やかになっていきますが、一度口にしてしまった暴言や暴力的な行動は取り返しがつきません。
例えば、
- 理不尽な修正を顧客から突きつけられ、怒りがこみ上げたとします。
- その怒りに任せて「そちらの都合ばかり押し付けないでください」とメールを返信してしまえば、取り返しのつかないことになります。
感情のコントロールとは、「怒りのメールを送信する」という問題行動を自制し、一晩置いてから冷静なビジネスメールを返すことにあります。
また、私たちは「不安」や「悔しさ」といった負の感情を、自分を成長させるための強力なバネに変えることも可能です。
例えば、↑の場合、「次は文句のつけようがない完璧な仕事をする」といったような、建設的な努力の方向へとスライドさせます。
湧き上がる負の感情を無理に否定せず、まずは「取り返しのつかない攻撃的な行動を起こさないこと」だけに集中して自分を守りましょう。
イライラの原因は「自分のこだわり」
他人のルーズな行動を目にしたときに激しい怒りを感じる本当の原因は、実は相手ではなく、自分自身のルールや性格の偏りにあることがほとんどです。
私たちは無意識のうちに「こうあるべきだ」というマイルールを他人に押し付け、そこから外れた行動をとる人を悪者として断罪してしまいがちです。
- 時間に厳しい性格の人は、5分遅れてくる相手の行動が許せなくなってしまいます。
- 逆に時間にルーズな性格の人であれば、相手が多少遅刻したところで受け流せるはずです。
このように、イライラの真犯人は他人の無責任な振る舞いそのものではなく、自分のルールに固執してしまっているあなた自身の心の偏りなのです。
自分自身が「人よりも極端にこだわっている」という事実を、素直に自覚して受け入れることが、感情をコントロールする第一歩です。
他人の行動に激しい怒りを感じたら、相手を責める前に「自分の中にどんな譲れないこだわりが隠れているか」を優しく探ってみてください。
「変えられないこと」へは踏み込まない
私たちが不機嫌になってしまう最大の理由は、自分の力では絶対に変えられない事に対して、無駄な怒りやエネルギーを費やしているからです。
心理療法の世界でも広く知られている通り、「他人の行動」と「過ぎ去った過去の出来事」の2つは、個人の力で絶対に変えることはできません。
どれほどあなたが怒りをぶつけ、涙ながらに説得したとしても、相手が自身の意志で変わろうと決意しない限り、その性格や行動が変わることはありません。
変わらない他人をどうにかして自分の理想通りに変えようとする行為は、終わりのない徒労感とさらなる不機嫌を生み出す悪循環に陥るだけです。
大切なのは、自分がコントロールできない領域からはきっぱりと手を引き、自分が今すぐコントロールできる行動だけに全集中することです。
「他人」と「過去」を変えるためにエネルギーを浪費するのを今すぐやめて、「自分自身」と「現在」に全力を注ぎましょう。
完璧主義と「察してほしい」甘えの克服
常にイライラして心が休まらない人に共通している特徴は、何に対しても100%の完璧を求めてしまい、少しの妥協も許さないという極端な完璧主義です。
どんなに優秀な人であっても仕事やプライベートのすべてを完璧にこなすことは不可能ですし、必ずどこかで手落ちや失敗が生じてしまうものです。
100%の基準にこだわりすぎると、自分が成し遂げた80%の成果よりも、できなかった20%のマイナス部分ばかりに目が行き、自分で自分を不機嫌に追い詰めます。
これからは「大体の物事は80%も達成できていれば合格点である」という、柔軟で寛容なスタンスを意識的に取り入れてみてください。
また、人間関係におけるイライラの多くは、「言わなくても自分のつらさや怒りを相手に察してほしい」という、言葉の努力を放棄した甘えから生まれます。
例えば、よくある「共働きの家庭で、一方が家事に追われ、もう一方がのんびりしている状況」を想像してください。
- 一方がなにも手伝おうとしないパートナーに対して、ドアを乱暴に閉めたり、ため息をわざとらしくついたりして、不機嫌な態度でアピールを始めます。
- それを受けたもう一方も「なぜ怒っているのか」がわからず不愉快になってしまいます。
このように、どれほど長く一緒に暮らしている家族であっても、あなたの心の中を正確に透視することは絶対に不可能なのですから、言葉にしない期待は裏切られて当然です。
他人は自分の気持ちを分からなくて当たり前と割り切り、不満や要求があるときこそ、感情的にならずに丁寧な言葉で具体的に伝える努力を始めましょう。
息苦しい完璧主義を「80点合格」に緩め、「察してほしい」という甘えを捨てて望むことを素直に言葉にすることが大切です。
「感情は要領」で技術で解決できる
著者が本書の中で強調しているのは、「感情のコントロールは精神論ではなく、技術(要領)で解決できる」ということです。
その中でもビジネスや人間関係を円滑にする強力な技術が、プライドを捨ててさっさと自分から謝ってしまい、最終的な利益を得るという手法です。
どちらに非があるかを白黒はっきりさせようと議論を戦わせるよりも、まずは頭を下げてその場を収めた方が、結果的に時間も精神も節約できます。
「謝ったら負け」というプライドを捨て、大阪の商人のように「頭を下げるのはタダだから得である」と合理的に開き直るのが大切です。
また、仕事だけでなく、趣味や家族など、自分を支える心の柱をいくつも構築しておくことも大切です。
例えば、 地域のテニスサークルと言ったコミュニティを作っておくと、仕事でミスしても、「自分にはあサークルで温かく迎えてくれる仲間がいる」と思えれば、過度に落ち込まずにいられます。
さらに、日々の生活の中で不機嫌を予防するために、意識的に「自分へのご褒美」を用意し、小さな成功でも自分を褒める習慣を作っていきましょう。
感情のコントロールは精神力ではなく技術(要領)です。
必要なプライドを捨て、複数の心の柱を持ち、自分を褒めてあげることで、感情に振り回されない自分を作りましょう。
今日からできる行動
- イライラを感じた瞬間に「7秒間の深呼吸」
- 怒りのピークは長くは続かないため、深呼吸で脳に酸素をたっぷり送り込んであげることで、最も致命的な「売り言葉に買い言葉」や暴言といった最悪の行動を自制できます。
- 取引先からの身勝手なメールを読んだ瞬間、キーボードから完全に手を離して立ち上がり、ゆっくりと7秒間呼吸を数えてから返信文を考え始めます。
- 「許せないこと」を書き出し、性格の偏りを自覚する
- どのような状況で自分が怒りを感じやすいかを視覚化することで、自分が他人に押し付けているマイルールを客観的に自覚して受け入れましょう。
- 「1分でも遅刻する人は許せない」などと書き出し、「自分は人一倍、時間配分に過敏で偏りのある性格なのだ」と俯瞰して自分を分析します。
- 「相手を変えようとする」をやめて、自分が変わる努力をする
- 他人の性格や癖を自分の力でコントロールすることは絶対に不可能であり、変えられない存在を無理に変えようとするのはやめましょう。
- 仕事と関係のない雑談を大声でしている同僚達を、直接注意して行動を改めさせようとするのをやめて、一度席を外すなどして自分を変れてみましょう。
- 「察してほしい」という甘えを手放し、言葉で伝える
- 言葉にする努力を怠ったままで「どうして私の苦労や状況を察してくれないのか」と相手に勝手な期待を寄せるのは、悪循環になる原因だからです。
- 家事に追われているとき、のんびりとスマホをいじっている家族に対して「お皿洗いを手伝ってくれると嬉しいな」と丁寧に声をかけてみましょう。
- 「心の避難所」をつくる
- 仕事以外の趣味や勉強会といったサードプレイス(第3の居場所)とご褒美を確保しておくことで、仕事で一つの失敗があっても心が折れてしまうのを防げるからです。
- 自分の趣味や興味のあることで、地域のコミュニティを調べて足を運んでみましょう。
まとめ
感情的にならないことは我慢することではなく、人生を快適に生きるための技術です。
自分の心の癖に気づき、心地よい距離感を保つコツさえ掴めば、誰でも感情に振り回されない「ご機嫌な自分」に変わることができます。
この「気持ちの整理術」で他人に振り回されるだけの窮屈な日々から卒業し、自分自身の心と人生の主導権を取り戻して、毎日を笑顔で豊かに過ごせるようになりましょう。
きっとその先には、心がラクになれるショトカ(近道)が隠れているはずです。

