誰かと会話するとき、「何を話せばいいかわからない」「沈黙が怖い」と思った経験はありますか?
恐らく、ほとんど人が同じ悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。
そんな気まずい瞬間に、胃がキリキリするような思いをしたことがある人は多いはずです。
実は、会話のセンスは生まれつきのものではありません。大切なのは、少しの「コツ」を知っているかどうかです。
本書「雑談の一流、二流、三流」は、そんな一流が使う雑談の「コツ」を、誰でも使えるスキルとして落とし込んだ一冊となっています。
もし苦手意識を克服して、もっと気軽に人と接したいと願うなら、この本が強力な武器になるはずです。
面白い話をする必要なんてありません。
相手と自然に心を通わせるための「一流の雑談術」を学び、明日からの会話を少しだけ心地よいものに変えてみてください。
そうすれば必ず、相手と温かい関係性を築くためのショトカ(近道)が切り開かれるはずです。
雑談とは「火を灯す」こと
雑談が苦手な人は、どうしても「相手を楽しませなければならない」という重圧を感じがちです。
しかし、そもそも雑談とは、高度な情報交換や笑いを取ることではありません。
雑談の本質とは、言葉のやり取りを通して、相手との壁を取り払い、「火を灯す」ことにあります。
火が灯るというのは、お互いが「この人とは気兼ねなく話せる」と感じる、心地よい温度感のことです。
例えば、仕事の合間の雑談であれば、「忙しいですね」とただ事実を述べるのではなく、「お疲れ様です。今日の会議の資料作成、大変そうでしたね」と一言添えるようにします。
これだけで、相手は「自分の状況を理解してくれている」という安心感を抱きます。
この小さな安心感が重なることで、次第に関係性の火が大きく燃え上がります。
つまり雑談とは、話の内容そのものではなく、人間関係を深めることを最大の目的としています。
まずは雑談を再定義することが「一流の雑談」へのスタートラインといえるでしょう。
「聞き上手」ではなく「話させ上手」
多くの人が「聞き上手になろう」と努力しますが、ただ黙ってうなずくだけでは、「聞き上手」とは言えませんし、相手に「この人は何を聞いているのだろう」と不安させることもあります。
一流が目指すべきは、聞き上手を超えた「話させ上手」です。
相手がもっと話したくなるようなリアクションと、さらなる話を促すパスを出すことが大切です。
特に大切なポイントは、「感情の乗せた反応」と「接続詞」です。
「ところで」「そういえば」「ちなみに」といった接続詞を会話に挟み、感情を乗せた感嘆詞を交えることで、相手は「自分の話がしっかりと届いている」と確信し、より深い会話をしてくれるようになります。
例えば、相手が「仕事が忙しくて全然休めていない」と言ってきたとします。
- 二流・三流の場合
- 「大変ですね、本当にお疲れ様です」
- 一流の場合
- 「ええ~それはお疲れ様です……。ということは、今一番やりたいことは『寝ること』だったりしますか?」
- 「ちなみに、もし一日完全に自由な休みが取れたら、どこか行きたい場所はありますか?」
このように、感情を乗せた反応で相手の承認欲求を満たし、接続詞を使って話題をスライドさせます。
これにより、相手は自分の苦労を分かってもらえたと感じつつ、楽しい話題を自ら話すことができるようになり、最終的に「楽しく話せたなぁ」の状態で会話を終えることができます。
単に頷いて話を聞く「聞き上手」でなはく、相手を気持ちよくする「話させ上手」を目指しましょう。
「考えさせない質問」で主導権を握る
会話の主導権というと、「話す側」が握っていると思われがちですが、実はその逆で、「質問している側」が握っています。
一流は常に、相手にどれだけ気持ちよく話してもらうか、ということを行っています。
ここで大事なのが、「相手があまり考えずに答えられる質問」です。
難しい質問やアバウトな質問は、相手の脳を疲れさせ、会話を停滞させます。
逆に、相手が即座に答えられる質問こそが、会話を加速させます。
- 二流・三流の質問
- 「最近忙しいですか?」
- 「趣味はありますか?」
- 一流の質問
- 「最近、土日はお休み取れてますか?」
- 「休日によくやっていることってありますか?」
このように、選択肢を極力狭めて、相手がゼロから考える必要ないようにすると、相手は「答えやすい!」と感じます。
このように、相手がその場ですぐにYes/Noや簡単な一言で返せる問いを投げかけることで、質問を受けた側は、自分がスポットライトを浴びているような心地よさを感じ、そこから自然と話が膨らんでいくのです。
会話の主役は「相手」
人間は誰しも「自分」に一番興味がある生き物です。
雑談で沈黙が続いてしまう最大の理由は、話題の矢印が自分に向いているからです。
一流は、会話の主題を常に相手に設定し、相手が心地よく話せるテーマを提供することです。
例えば、「今日は暑いですね」という挨拶一つでも、一流の人は違います。
ただ事実を伝えるのではなく、相手に寄り添う一言を添えることで、話題の矢印を相手に向けます。
- 「今日は暑いですね。30度を超えるそうですが、夏バテなどは大丈夫ですか?」
- 「今日は暑いですね。クーラーが効きすぎているかもしれません、室温は大丈夫ですか?」
このように、相手を主語にして会話を展開すると、相手は「自分のことに関心を持ってくれている」と感じ、自然と会話が弾みます
意見の相違やネガティブな話は変換する
雑談中に相手と意見が違ったり、相手がネガティブな不満を口にしたりすると、慌てて話題を変えようとする人がいます。
しかし、一流はそこを逃しません。
意見の相違やネガティブな発言を相手を知る絶好の機会と捉えます。また、相手の気持ちをプラスの状態にして会話を終えることを意識します。
意見が違う場合、
「えっ!それ面白いですね! どうしてそう思われたのですか?」と「興味」に変換すれば、相手は自分の考えを説明し始め、お互いの理解が深まります。
ネガティブな話の場合、
「それだけ悩んでいるのは、それだけ誰より考えている証拠ですよ」と相手の承認欲求を満たすことで、「自分の苦労がわかってもらえた」と思われます。
あえてネガティブな部分に触れながら問いかけをすることで、相手との間に深い信頼関係という「火」が灯るのです。
挨拶に「ツープラス」を加える
毎日の挨拶を、たった一言で終わらせていませんか?
「おはようございます」「お疲れ様です」だけでは、会話が広がることはほとんどありません。
本書では、「挨拶だけで終わるのが三流、挨拶にひと言付け加えるのが二流、そして「もうふた言」追加するのが一流である」と説かれています。
会話のきっかけ作りには、挨拶にもう「二言」追加する「ツープラス」というテクニックが有効です。
- 職場の同僚に対して
- 挨拶: 「おはようございます!」
- プラス①「今日の資料がすごく丁寧で分かりやすかったです」
- プラス②「かなり準備に時間をかけたんですか?」
- 近所の人に対して
- 挨拶「こんにちは!」
- プラス①「お庭の手入れが行き届いていて綺麗ですね」
- プラス②「やっぱり小まめに作業されているんですか?」
挨拶の後に空のボックスが二つあるとイメージしてください。
このボックスを一つずつ埋める意識で言葉を添えるだけで、会話のスタートダッシュが格段にスムーズになります。
沈黙を怖がらない技術
「話題がない」と悩む人は、珍しいニュースや面白い話を探そうとしてあたふたしがちです。
次のような会話術を駆使して、沈黙に恐れることなく相手との間に「火を灯す」をしてみてください。
王道ネタ
無理に面白い話題や特別なネタを用意する必要はありません。誰とでも確実に盛り上がる「王道ネタ」を活用してください。
- 食べること
- 動くこと
- 働くこと
- お金を使うこと
- 寝ること
これらの行為は誰もが体験していることなので、興味を持ちやすく、話題も尽きません。
話の内容の面白さよりも、相手に興味を持って話を聞く環境作りこそが、雑談において最も重要です。
「踏襲(とうしゅう)話法」
相手が直前に話した内容や、その場の文脈をそのまま引き継いで話を展開させるテクニックです。
「先ほどのお話に出ていた〇〇ですが」「その流れで言うと……」と、前の話題を土台にして話を広げることで、会話に途切れのない安心感が生まれます。
- 相手「今週は会議続きで、ずっとデスクワークばかりなんですよ」
- 自分「それはお疲れ様です。……(沈黙になりそう)」
- 踏襲話法「デスクワークでいうと、ずっと座りっぱなしだと腰とか疲れませんか? ちなみに、家では何かリラックスできるグッズとか使っていますか?」
このように、前の話を尊重して拾い上げるだけで、相手は「自分の話をしっかり聞いてくれている」と深く納得し、さらに会話を続けようというポジティブな気持ちになります。
沈黙を怖がらず、相手が残してくれた言葉という「火」を大切に育てる感覚で、次の話題へと繋げていくのが一流の流儀です。
今日からできる行動
まとめ
「会話が続かない」と悩む必要はありません。
一流が使う「雑談のルール」さえ知っていれば、誰とでも温かい関係を築くことは可能です。
ポイントは「自分」ではなく「相手」を主役にすることです。
一流と言われる人は、技術以上に「相手への関心」を常に持っています。
まずは、挨拶にひと言付け加える「ツープラス」から試してみてください。
加えて、「考えさせない質問」や「接続詞」をセットで行うと、会話は驚くほど自然に弾みます。
雑談の本質は面白い話をすることでもなく、笑わせることではなく、相手との間に温かな「火を灯す」ことです。
これらを会話の中で意識することで、必ず、相手と温かい関係性を築くためのショトカ(近道)が見つかるでしょう。


