「掃除をしなきゃ」「勉強を始めなきゃ」
そう思えば思うほど、「めんどくさい」、「後回しにしよう」とブレーキがかかってしまう。
実はこの苦しい「めんどくさい沼」から抜け出すには、たった少し工夫があれば十分なんです。
本書『「めんどくさい」が消える脳の使い方』が教えてくれるのは、小難しい精神論ではありません。
脳が嫌がらない「命令」の出し方のコツをつかめば、どんなにズボラな人でも自然と体が動き出します。
脳に正しく命令を送り、驚くほど体が勝手に動き出すための秘訣を学び、日常のあらゆる「めんどくさい」を消し去るショトカ(近道)を見つけましょう。
「めんどくさい」の正体は、脳の「迷い」である
まずは、人間が何かを「めんどくさい」と感じる時、脳の中では何が起きているのかを正しく知ることからはじめましょう。
驚くべきことに、脳は「これから何が起こるか予測できないこと」に対して、強烈な拒絶反応を示すようにできています。
つまり、やる気が起きないのは、対象となる作業が大変だからではなく、脳がそのことをイメージできていないからなのです。
例えば、「部屋の掃除をしなければならない」と考えるだけで、「めんどくさい」と体が動かないことは多くの人にあると思います。
これは、脳が「どこから手をつけるか」「何が必要か」「いつ終わるか」という情報を処理しきれず、パニックを起こしている状態です。
脳は予測できない事態を「生命の危機」に近いストレスとして捉えるため、安全のために「やらない」という選択をさせてしまいます。
このメカニズムを理解すると「どうすれば脳に適切に教えてあげられるか」という建設的な視点が持てるようになります。
- 掃除がめんどくさい→部屋が汚いからではなく「ゴミ袋をどこに置くか」すら決まっていない。
- 勉強が進まない→内容が難しいからではなく「参考書のどのページを開くか」が曖昧。
- 運動が続かない→体力がないからではなく「どの靴を履いてどの道を歩くか」を脳がシミュレーションできていない。
このように「めんどくさい」を、単なる「やる気」や「意志の力」の問題にするのではなく、
「脳という内臓」の使い方の問題として捉え直すことが出発点です。
脳が使えるエネルギーは、たった5%しかない
人間が「よーし、やるぞ!」と使える脳のエネルギーは、実は脳全体のたった5%以下しかありません。
残りの95%は、心臓を動かしたり体温を調節したりと、無意識に消費されています。
つまり、「やる気」や「意志の力」というものは、もともと非常に貧弱で、すぐにガス欠を起こしてしまいます。
多くの人が、この5%の貴重なエネルギーを、どうでもいいことに浪費してしまっています。
例えば、SNSをダラダラと眺めて膨大な情報を得たり、複数の仕事を同時並行で進めようとするマルチタスクはその典型です。
これらは脳のエネルギーを激しく消耗させ、肝心な時に「めんどくさい」というスイッチをいれてしまう原因となります。
重要なのは、このわずか5%を、いかに「節約」して「一点集中」させるかという戦略的な思考です。
エネルギーを節約するコツは、脳に「自動運転」の時間を増やさせることにあります。
「次は何をしようかな」と悩んだ瞬間にエネルギーは漏れていくので、あらかじめ決まった動きを習慣化することが大切です。
例えば、
- スマホを見ない時間を作り、無駄な情報処理によるエネルギー消費を抑える。
- 「仕事のメールチェックは10時から」と時間を固定して、脳の負担を減らす。
- 帰宅後のルーティンを完全に固定化して、家事に脳のエネルギーを使わない。
このように、限られたエネルギーを上手く使い、脳を「自動運転」へと導いていきましょう。
脳を動かす「具体的な命令」への書き換え
脳に動いてもらいたいなら、脳が理解できる「言語」で話しかけてあげる必要があります。
多くの人がやりがちな失敗は、脳に対して「しっかりやる」「効率よく進める」といった抽象的な命令を出してしまうことです。
残念ながら、人間の脳はこうした曖昧な表現を理解できずにフリーズしてしまいます。
脳を動かすには、命令を「具体的な動作」や「過去の記憶」に結びつけて伝えることです。
例えば、健康的な生活が「めんどくさい」と感じる時、
- 「健康のために歩こう」ではなく、
- 「玄関にあるスニーカーを履いて、コンビニまで右足から踏み出そう」と書き換えます。
具体的に指示されると、脳は「それならできる!」と即座に判断し、運動を司る部位に信号を送ります。
さらに、「あの時のようにやろう」と、過去の記憶を呼び起こす方法も効果的です。
例えば、仕事でプレゼンをするのが「めんどくさい」と感じる時、
- 「頑張って話そう」ではなく、
- 「昔、友達に美味しいお店を教えた時のように話そう」と書き換えます。
「友達に教える」という「過去の記憶」は脳に深く刻まれているため、未知の恐怖が消え、脳がリラックスした状態になります。
他にも、
- 「洗い物をしよう」は「まずは一番大きなフライパンに水を入れるだけやろう」
- 「勉強しよう」は「椅子に座って、机の上の参考書の表紙を10秒間見つめてみよう」
- 「企画書を考えよう」は「昨日のお昼ご飯を思い出した時と同じ感覚で、アイデアを一つだけ紙の端っこに書こう」
「頑張れ」という単純で厳しい言葉よりも、「これをこうして」という具体的で優しい言葉の方が、
脳は喜んで力を貸してくれます。
「身体感覚」を使って脳を活性化させる
脳と体は密接につながっておりは「脳が指令を出して体が動く」だけでなく、「体が動くことで脳が起動する」という逆のルートも存在します。
「めんどくさい」が脳を支配している時、頭の中だけで解決しようとするのはNGです。
そんな時は、あえて「身体」に刺激を与えることで、停滞した脳を強制的に動かしてしまいましょう。
例えば、夕方になって仕事や家事が「めんどくさい」と感じてきたら、温かい飲み物を飲んだり、少しだけ歩いたりして体温を上げます。
脳は体温が上がると「今は活動する時間だ」と判断し、アクセルを自動的に踏んでくれます。
また、「手で触る」ことも驚くほど効果的です。
「資料をまとめないとだけど…」と動けない時は、中身を読まなくてもいいので、まずはその資料を物理的に手に取ってみてください。
皮膚からの刺激(触覚)が脳に伝わると、脳の活動部位が切り替わり、自然と「せっかくだから少し進めようか」というモードに移行します。
「やる気」が出るのを待ってはいけません。やる気とは、体を動かした後に遅れてやってくるものです。
身体という「物理的なスイッチ」を先にオンにすることで、あなたの脳を「やる気」を強制的に動かしてあげてください。
「10秒だけやる」と脳を騙す
脳は「大きな変化」を嫌いますが、「小さな変化」であれば、気づかずに受け入れてくれるという性質を持っています。
何かを始めようとして「めんどくさい」と感じた時は、「10秒だけやる」あるいは「最初の1ステップだけやる」と決めるのが、効果的な方法です。
例えば、
- 大量の書類整理なら「すべての書類を片付ける」のではなく「1枚だけ手に取る」
- 「スクワットを毎日30回」ではなく、「スクワットの姿勢を1回とるだけ」
このように「失敗しようがないほど小さな一歩」を設定すると、脳は警戒を解きます。
一度動き出してしまえば、脳の「作業興奮」という仕組みが働き、自然と次の動作に繋がります。
- 読書なら「本を開く」だけ。
- 料理なら「コンロのスイッチを入れる」だけ。
- ブログを書くなら「タイトルを入力する」だけ。
「最初の10秒」を乗り越えられれば、あとの9割は自動的に進んでいくと言っても過言ではありません。
「人とのつながり」が、脳のガソリンになる
脳には、自分一人のためだけに動くよりも、他人のために動く方がエネルギーを発揮しやすいという不思議な性質があります。
これは「社会的報酬」と呼ばれるもので、自分の行動が誰かの役に立っていると実感した時、脳はドーパミンを放出します。
「自分のために頑張る」のは限界がありますが、「誰かのために」という視点を持つと、驚くほど「めんどくさい」が消えるのです。
例えば、
- 家事がめんどくさい時は、「自分が楽をするため」ではなく「家族が喜ぶ顔を見るため」
- 仕事の作業が苦痛な時は、その書類を受け取る同僚がどれだけ助かるかをイメージします。
自分の行動の「先」にいる誰かの笑顔を脳に送るだけで、脳の活動レベルは劇的に引き上げられます。
もちろん、直接感謝されなくても構いません。
大切なのは「自分がこれをやることで、世界が少しだけ良くなる」という自己満足です。
「誰かのためにやっているんだ」という感覚は、枯渇しがちなエネルギーを補い、持続的な行動力を生み出してくれます。
今日からできる行動
まとめ
「めんどくさい」は、あなたが怠け者ではなく、脳が送ってきている「混乱のサイン」に過ぎません。
脳は予測できないことを「敵」とみなしてしまいます。
なので、脳に「通じる言葉」で優しく伝えてあげることが大切なのです。
脳への命令を「具体的な動作」に書き換え、10秒だけ動いてみる。
それでもダメなら、なにかに触れてみたり、「誰かのため」と考える。
そんな小さな工夫だけで、脳は驚くほどテキパキと動き出します。
「やる気」を待っていても、訪れません。
脳をしっかり理解し、味方にすることで、日常のあらゆる「めんどくさい」を消し去る最大のショトカ(近道)を見つかるはずです。


